読解 Particular
Trapcode Particular v4.1の基本操作から、最新バージョンのDesignerとPhysics/Fluidまで網羅する専門書籍
Trapcode Particular v4.1の基本操作から、最新バージョンのDesignerとPhysics/Fluidまで網羅する専門書籍
Trapcode Particular は、Red Giant社によりリリースされている3Dパーティクルプラグインです。また、Trapcodeシリーズのプラグインのうち、恐らく最も有名な代表的プラグインです。
『パーティクル』『パーティクルエフェクト』は様々な表現における最小単位のオブジェクトとして扱われることが多く、分かり易い表現であれば塵のような、それ自体が細かい物質の群体であるものや、炎や水のような自然物、密度高く繋げることで線を描くようなことも可能です。パーティクルとして出力する『種』を大量に複製する点から、物体配置のアシストとして使用することもでき、扱い方次第で何でもできるため、多くのソフトウェア(立体的な表現を行なうので、3DCGソフトウェアが多い気もします)に取り入れられています。
本誌ではめでたくバージョン4.0を迎えたParticularの全機能解説を前半に、後半ではクリエイター陣による作例から、Particularの表現・ノウハウを執筆いただきました。機能性や汎用性の高さはそれらを制御する・達成するためのパラメータ数の多さと、そこから生じる複雑度とのトレードオフの関係にあります。Particularも類にもれず、非常に多数のパラメータを保持しており、表現として不要という意味ではなく、理解が及んでいないことから使用していないパラメータというのも多数あります。実際、多くの場合は知らなくても 何とかなる(何とかなってきた)のですが、いま一度見直すことで、いざという時の助けになることも少なくありません。
今回はFluidという面白い表現に繋がりそうな機能が追加されたことを皮切りに、分かったつもりになっていた機能を見直す機会と思い、一つ一つのパラメータと向き合って参りました。改めて、膨大なパラメータ数に頭を悩ませましたが、理解が深まったことは間違いありません。この強大な敵へと立ち向かった軌跡をご覧ください。そして、前述通り、やはりパーティクルエフェクトは『どのように扱うかどうか』が肝となります。幸いなことに、普段から使用されている方も多いプラグインですので、各々の日頃のノウハウを学ばせていただきました。これらを通じて、本誌が少しでも皆様の良きパーティクルライフの手助けとなりましたら幸いです。
この項では主に「Trapcode Particular(以降、Particular)」の機能・パラメータの意味について触れていきます。非常に歴史のあるプラグインであるため、感覚である程度分かっているつもりになっていても、『これはどんな機能なの?』と問われると案外説明がしっかりと出来ないものです。そして、表現のためのパラメータも熟知しているので、触れない機能は全くと言っていいほど使わないものです。自分の記憶と照らし合わせて、答え合わせのゲーム感覚でいま一度、Particularと向き合ってみるのは如何でしょうか。
本項で用いられる各バージョンはAfter Effects(以降、AE)はCC2019、Particularは4.1となります。基本的な挙動に違いはないはずですが、増減しているパラメータは存在するため、ご注意ください。
今回ご紹介させていただく「火の玉パーティクル」の制作において、ほとんどの要素は [Particular]から制作をしています。パーティクルの要素(煙の表現や火の粉の表現など)を制作する前に、まずは「パーティクル」を立体的に飛ばす方法を先にお伝えさせていただきます。
立体的に見えるパーティクルモーションを制作するにあたっては、「パーティクルの位置を3次元上で把握する」ことが求められます。とは言ったものの多くの方が「それが簡単に出来たら悩んでないよ」と考えていらっしゃると思います。かくゆう私も新人時代にはそれを毎日考え苦労していました。ですので、今回はその悩みどころを私はどう把握しているのかを紹介させていただきます。
応用の幅が広いことに定評のあるParticular。その幅の広さ故に、新機能を活かした表現を考えても「それって既存の機能でできたんじゃない?」という壁にぶち当たることもしばしば。今回は見事その壁を超え、新機能を活かしつつ実用性のある光彩表現を2つほど紹介したいと思います。
私は普段、MVやゲームPV、イベントのOP等々を制作しているのですが、正直なところパーティクルをリッチに作り込むような機会は然程多くありません。また、火花や炎/キラキラ/塵/花吹雪/オーラっぽい表現など、Particularで作る王道と言えそうなものに関しては既に多くのチュートリアルが公開されていますし、それらのお話はエフェクト系により明るい方々にお任せすべきと思います。
ですので、このParticular本のお話を頂いた際に考えたのは、敢えて「ParticularだけどParticularっぽくないものを」という条件を設けて何か制作し、それを記事にしてみようということでした。
かくして、色々と試行錯誤した結果がこちら。ほぼほぼParticularで描いた、幾何学的で抽象画っぽいグラフィックです。取り敢えず、「Particular」と検索してもなかなか出てこない見た目になったかと思います。
Particularのバージョン4にようやく実装された「Fluid シミュレーション」を使う事で、今までのAirの設定だけでは困難だった、より自然な動きを粒に付ける事が可能になりました。そこで、3種類のFluidを用いて触手のようなものを制作してみます。